ファミコンウォーズ キメンハントウを青軍で8日クリアー

今回もまた、中国語のトピックと離れ、スポットでファミコン関連のトピックをお送りする。
 初代ファミコンウォーズについてのWEBサイトを眺めていたところ、キメンハントウを青(ブルームーン)軍で10日クリアーというコンテンツを載せていた人がいました。私はこれを見て「こんな程度で喜ぶな!」と思いました。
 ファミコンウォーズタイムアタック、つまり各マップを最短日数でクリアーしていくという遊び方においては様々な技術の蓄積があり、ファミコンウォーズフリークの間では古くから情報が交わされています。ここで私なりの攻略技術を元に、青軍によるキメンハントウのタイムアタックをドキュメントしてみました。

1. マップ概略
 北西に赤(レッドスター)軍の基地が、南東に青軍の基地が配置され、多くの森林と山脈が侵攻の阻害となっている。空港も軍港も無い。山脈は2箇所で途切れているが、ここを敵軍に塞がれると侵攻が困難になる。 最大の特徴は、ゲーム開始時点ですべての都市が青軍に占領されているということであり、初期軍事費は赤軍4,000G、青軍24,000Gという極端なハンディーが付けられている。

2. 攻略のシステム設計
 青軍軍事工場から赤軍基地までの最短移動距離(歩兵ではなく戦車の歩数。つまり森林は2と数える)は、山脈を北上するルートと西を行くルートではどちらも18である。つまり生産したユニットを2分し、北ルートと西ルートにバランス良く配属する必要がある。
 また、移動距離が18ということは、生産から敵基地附近までの移動日数はセンシャA、ソウコウユソウシャでも3日必要だということである。これは、ターン数8日でクリアーするならば5日目にはユニットを生産していなければならないということになる。
 また、このマップでゲームを1度試験的にプレイすることで、赤軍のユニット生産と進軍の傾向を知ることができる。これで分かることは、以下のようなことである。
(1) 2日目まではホヘイを全力で生産し、都市の占領を最大の目標としてくる。
(2) ホヘイ部隊は、東に向けたルートと南に向けたルートにバランス良く配属される。
(3) 余剰のホヘイ部隊は、山脈を超えて青軍基地に向け侵攻する。
 さて、青軍にとって絶対有利な状況下での攻略技術であるが、主に以下のポイントに重点を置く。
(a) 敵が初期に生産するホヘイの大軍には、主にソウコウユソウシャを当てて撃破する。
(b) 自軍はホヘイ及びセントウコウヘイを生産しない。2日目から赤軍による都市の占領が続くが、こちらもホヘイなどを送り込んで都市を奪還しても、最短日数攻略の阻害になるだけである。よってある程度都市が赤軍に占領されるのは不可抗力と割り切り、自軍はセンシャ等の高級ユニットで赤軍の軍事工場の占拠(占領という意味ではない。自軍のユニットが軍事工場に居座ること。こうすることで敵軍はどんなに軍事費があっても、戦闘ユニットの生産ができなくなる。)を目標に敵基地を目指し移動させる。

3. 戦闘ドキュメント
戦闘条件は、赤軍はIQ=200のコンピューター、青軍はプレーヤーである。
* 第1日
赤軍は4,000Gの軍事費をフルに使い、ホヘイ4部隊を生産。
青軍は西半分の軍事工場で2部隊のソウコウユソウシャを、東半分の軍事工場で2部隊のセンシャBを生産。
本来ならば、敵軍のホヘイを有利に撃破するために、東半分の軍事工場でもソウコウユソウシャを生産するのがセオリーであるが、東半分の軍事工場で生産したソウコウユソウシャが森林に阻害され遠くまで移動できない(平地1+森林1+平地2+森林という移動行程では、移動距離6を持つユニットが最後の森林まで移動できず、移動可能な歩数が1歩残ってしまうのがもったいない。)ため、センシャBなどの移動距離5のユニットを使っても同じ歩数だけ移動できてしまう。マップの森林の配置からこのような現象が起きてしまうのだが、こういった細かな地理条件も考慮してユニットを効率的に移動させないと、ユニットがあと一歩の所で敵を攻撃できずに終わるなどして涙を飲むことになる。
ここで生産するセンシャBは、敵軍が後に生産するセンシャBと直接戦うのに充分な戦闘能力をもたらす。
* 第2日
赤軍は都市の占領を始め、また4,000Gの軍事費をフルに使いホヘイ4部隊を生産。これで赤軍のホヘイ部隊は計8部隊となる。これだけホヘイが増えると、簡単に撃破することは難しい。センシャAやソウコウユソウシャをこちらも大量に生産しないと対応できない。
 青軍は、北ルート侵攻隊と西ルート侵攻隊に分かれてソウコウユソウシャを敵ホヘイに全力で接近させる。 1マス後にセンシャBが追従する。軍事工場ではセンシャA1部隊、ソウコウユソウシャ1部隊、ジソウホウB1部隊を生産する。
センシャAとソウコウユソウシャは、ホヘイの大軍を撃滅するために必要。またセンシャを使えば、敵ホヘイを撃破しつつ最後は敵の基地に侵攻し、敵の高級ユニットを直接攻撃する能力もある。ジソウホウBは一般論として「有効な利用法が確立されていない」ユニットであるが、ここで脚光を当ててみたい。
このマップでジソウホウAを生産したとしても移動距離4は少な過ぎ、その砲台が火を吹くまでに敵軍が陥落してしまうため始めから生産は考えるべきではない。だが、間接攻撃というものは無視できない程の効果があり、攻略の中盤で敵軍のセンシャBを迎え撃ったり、攻撃を受けて2〜4名になった敵ホヘイ部隊を撃滅し、直接攻撃のできるユニットを1日でも早く敵基地周辺に送り込むための支援にはジソウホウBが欠かせない存在となる。
* 第3日
赤軍はホヘイにより2都市の占領に成功、尚も青軍の都市に向け進軍。次にセントウコウヘイ1部隊を生産。
青軍は、北ルートに進んだソウコウユソウシャがホヘイと交戦し、まずは占領を阻止。センシャBも順調に追従する。2日目に生産したセンシャAとソウコウユソウシャは北ルートへ配属。
西ルートへは、ソウコウユソウシャとセンシャBの部隊が全速力で敵ホヘイ部隊に向かう。
軍事工場では、センシャA1部隊とセンシャB1部隊を生産。

* 第4日
赤軍は東ルートと南ルートに分かれ、都市の占領作戦を継続中。更に1都市を占領した。センシャB1部隊を生産した。
青軍の北ルート侵攻隊は、ホヘイを順調に撃破しながら、占領を完全に阻止し続ける。次回のターンでセンシャAとソウコウユソウシャは敵軍基地に最接近可能。
西ルートは敵ホヘイ部隊の侵攻を阻止できず、更に1都市の占領を許す。ソウコウユソウシャ1部隊とセンシャB1部隊でホヘイを弱体化するが、1部隊も撃滅できない。ジソウホウBはまだホヘイ部隊に接近できない。軍事工場ではセンシャA1部隊とセンシャBを1部隊生産。
* 第5日
赤軍の東ルート隊は、青軍のセンシャ及びソウコウユソウシャの猛反撃によりホヘイ2部隊、セントウコウヘイ1部隊に減少。これ以上の都市の占領は不可能となった。南ルート隊は都市を更に1つ占領。山脈横断道路附近に移動し、青軍の侵攻を阻害している。センシャBを1部隊生産。
青軍のジソウホウBがここで活躍。占領中のホヘイ部隊に打撃を与える。軍事工場ではセンシャA1部隊、ソウコウユソウシャ1部隊を生産。

* 第6日
赤軍のホヘイ1部隊が山脈を超えて青軍の都市に接近を図る。東ルート隊の劣勢を挽回するためにセンシャBが青軍のソウコウユソウシャを攻撃する。ソウコウユソウシャ2部隊を生産。
青軍であるが、北ルート隊は敵軍のセンシャBに打撃を与えつつ敵基地附近に移動。尚もセンシャAが北ルートで基地に向かう。
西ルート隊は、ジソウホウBによる支援を受け、直接攻撃隊がホヘイとセンシャBを撃滅しつつ北上を開始。軍事工場のセンシャAとソウコウユソウシャは西ルートに配属する。
* 第7日
赤軍の東ルート隊は、センシャB、ソウコウユソウシャ各1部隊と弱体化したホヘイ1部隊のみになる。南ルート隊もソウコウユソウシャとホヘイ各1部隊が奮闘するのみであるが、この状況下で思いもよらぬビッグチャンスが訪れる。赤軍が約8,000Gの軍事費を保有していながらセントウコウヘイを1部隊生産しただけでターンを終了したのである。これはコンピューターの戦闘アルゴリズムではよく発生する現象であるが、次回のターンで強力なユニット(私が確認した結果次回はジソウホウAが生産された。)を造るための貯金なのである。
青軍は、敵基地のセントウコウヘイを取り囲み軍事工場を占拠すべく戦闘ユニットを集結させた。この時注意すべきは、セントウコウヘイを活かさず殺さずの状態にしておくことである。
青軍の戦闘ユニットも、ここまでの移動中の交戦で1部隊のユニットの台数が1〜7台程度に減少してきているため、次のターンで赤軍のセントウコウヘイに攻撃され、軍事工場の占拠に成功したユニットが撃滅されると次回はジソウホウAが生産されてしまう。また、赤軍のセントウコウヘイを弱体化させても4人以上であれば、次回のターンでは補給を受けて6人以上から成るセントウコウヘイ部隊が、最も弱体化した青軍の戦闘ユニットを狙って攻撃に出て来ることが考えられる。これで青軍のユニットが撃滅されれば上記と同じ結末である。
セントウコウヘイを撃滅させ、敵基地も同時に自軍のユニットで占拠しても良いのだが、その分残った赤軍の部隊(特に赤軍東ルート隊のセンシャB、ソウコウユソウシャは被害が少ない。)を掃蕩できる部隊が手薄になり、最悪の場合8日でクリアーできない恐れもある。
 よって、残存台数の多いユニットは敵軍事工場を占拠すると同時にセントウコウヘイをぶっ叩き、弱体化したユニットは占拠するのみで交戦しないで放置したり、合流させるという技術が求められる。 私は長年の経験により、セントウコウヘイを攻撃して1人残しただけの状態にし、台数3台以上のユニットを敵軍事工場に占拠させることに成功した。こうすれば、次回のターンでセントウコウヘイが3人に増えても3台のセンシャBを撃滅することはほぼ不可能だからである。
 最後にセンシャAとソウコウユソウシャを生産したが、軍事費が余ったため生産しただけであり、もうここまで来れば、次回のターンでは現存の部隊だけで敵部隊を全滅させることは充分可能だ。

* 8日目
赤軍のセントウコウヘイは補給を受けて3人に増え、3台に減った青軍のセンシャBと交戦するが、結果[セントウコウヘイ2人:センシャB1台]で撃滅できずに終わる。私の計算通りだ。あとは残る戦闘ユニットが青軍と奮戦する。
敵基地のセントウコウヘイが残存したために、赤軍はユニットを生産できず、多額の軍事費を残したままこのターンを終了した。
青軍はまず敵基地のセントウコウヘイの残り2人を、センシャA3台の攻撃により易々と撃滅。続けて強力な後方支援部隊の力により残存部隊に攻撃を浴びせ、赤軍を全滅させた。



4.考察(7日クリアーに向けた可能性を示唆)
 第1日で生産したソウコウユソウシャ2部隊は、赤軍の複数のホヘイ部隊に大打撃を与える活躍を見せたほか、同時に生産したセンシャBも最終的には敵基地附近に到達し、軍事工場の占拠に成功した。うち1台は弾切れとなる程の高い稼働率を記録した。ホヘイやセントウコウヘイを生産しない作戦にも誤りはないと確信できる。
第7日のドキュメントで述べた通りであるが、7日目に赤軍が生産したセントウコウヘイ1部隊を同日の青軍の攻撃ターンで撃滅させることは可能である。だが、赤軍の東ルート隊の部隊が強力なほか、赤軍南ルート隊のホヘイ部隊を掃蕩するのは7日目がやっとの状況であり、7日でのクリアーは絶対不可能ではないが課題が多い。この問題の解決には4〜5日に生産する部隊の編成を考慮することが必要であるが、センシャAは他のユニットで代用できないだろう。
 結果として8日クリアーはこれまでの示例により容易に達成できるのだが、一層の戦略研究により7日でクリアーすることも可能であるとの見方を示したい。
私自身、今後もこのゲームのタイムアタックを楽しんでいきたいと思っており、読者の方からの技術提供などがあればお寄せいただきたい。
 (お願い、私の以前の投稿「ファミコンウォーズの高射砲はこの様に見える!」もお読み下さい。)