私の超高速中国語学習法(12) ICレコーダーの語学への応用

私が独自で考案したクレイジー・リスニングは独学開始から2年後も続けられていた。
だが、通勤中の車の中や、自宅でのリスニングはいつまで経っても数種の市販教材のCDを録音したカセットテープの流しっ放しで、同じ内容の繰り返しであることからマンネリ化が感じられ、思う様に学習効果が発揮できていないことを打破しようと考えた。
そこで考えたのが、再生スピード可変式のICレコーダーの応用である。
思い立った日の週末に電気店へ行き、ソニー製のICレコーダーの再高級品を値切って買った。
ソニーを選んだのは、私の家が古くからのソニーフリークだからである。
テレビはもちろん、オーディオ・ビデオ製品や調理器などは可能な限りソニー製を買っている。特に私の家について言えば、ソニー以外はテレビではない(*注1)のである。テレビ本体の画面下には通常メーカー名の銘盤が取り付けられているが、ここにSONYと表示されていないテレビを観るのが気持ち悪いのである。私は特に国内メーカーでPxxxxxxxxとかHxxxxxxと表示されているテレビとは相性が悪い。自宅以外でこれらのメーカーのテレビを観させられると気分だけでなく胃腸の具合が悪くなるのだ。
さて話を戻すが、購入したICレコーダーは、パソコンに接続してMP3やWAV形式などの音声ファイルをレコーダー独自のフォーマットに変換して取り込み、再生することができるものである。また、当然ながら再生スピードを変えても再生周波数が変わらない(男性の声を早口にしても女性の声になるということは無い。)こうして、教材として使うCDの音声を一部は編集(不要箇所のカット)してICレコーダーに転送し、再生速度を変えてヒアリング学習を行うことにした。
まず、それまでは話のスピードが速くて聞き取りにくかったものを30%スピードダウンして再生すると、単語ひとつひとつが分離して聞こえ、話の意味が浮かび上がって来たのだ。更にこのスピードに合わせた発音練習を行い、耳からだけでなく話すことでも単語を覚えられるようにした。こうすると再生速度を本来のスピードに戻してもかなりの量が聞き取れるようになった。
また、何回も繰り返して聞き、内容を暗記している教材は再生スピードを上方限界の+50%に上げても聞き取れるか挑戦してみた。これは難無くできた。この様にして再生スピードを変えて遊ぶだけでなく好きな音楽を転送して楽しんだり、車の中ではFMトランスミッターで電波を飛ばして聞くこともできるので、外出する時も手放さずいつでも中国語のヒアリング学習をする環境を作ってしまったのである。ICレコーダーに投資した金額は少なくなかったが、投資した分の見返りはあったと感じているし、今後も有効な学習装置として役立ってくれるはずと考えている。
現在は、HSK高等のヒアリング教材のカセットテープをデジタル録音したものをICレコーダーで聞いている。いきなり等倍の再生スピードでは早過ぎて聞き取れないので、−50%の再生速度でテキストに目を通しながら2〜3回聞き、知らなかった単語はノートに転記して発音と意味を理解してから再生速度を−30%にして数回聞く。これに慣れて聞き取りが出来るようになったらスピードを等倍にして、他のことをしながら何度も聞くクレイジー・リスニングを実施する。こうすると聞いた文章が暗記できるようになるし、一度こうして聞き取りのできる様になった単語は、速いスピードでのリスニングでも聞き取れるようになる。特に最近では、中国からの短波放送で何を言っているのか20%位は分かるようになって来た。こうなると短波放送を聴くのが楽しくなる。楽しさは学習における第二の原動力である。悔しいが第一の原動力は充分な自由時間が確保されていることである。私には依然、自由時間は極めて少ない。

(*注1) 日産のスカイラインの4代目(ハコスカ)が発売されていたとき、異端的なマニアは(3代目の)「S−54型以外はスカイラインではない」と主張していたと聞く。この言葉からヒントを得た。