私の超高速中国語学習法(10) 技術書2冊の完璧な読破

私の超高速中国語学習法(10) 中国語書籍の読書「MS ACCESS2000使用手冊」,「VB.net入門経典」

今回は「Macintosh自学通」を読破してから約1年後の読書体験である。
まず「MS ACCESS2000使用手冊」は、私が香港へ旅行した時に電脳街で買って来たMS-Access2000・リレーショナルデータベースソフトの入門書である。
香港の書籍はその多くが台湾で出版されたものである。香港の現地人は広東語を使用するので、中国本土(大陸)の普通話は話せないし簡体字も読めない人が多い。香港の書店では、大陸の書籍を売っても商売にならないのだ。
この時、私はまだ中国語検定を受験するということは考えておらず、業務多忙のため少ない自由時間の中、ただ有意義に中国語の知識を向上させようと、急がず、焦らず、着実に学習していた。
私の仕事の関係上、この頃はデータベースソフトを使用した社内原価管理システムの改良の必要からデータベースソフトの知識も必要になり、それならば中国語書籍を読みながらのデータベースソフト入門も悪くないのではないかと考えたからである。
台湾で出版されたコンピューター技術の入門書は、中国大陸で出版された「Macintosh自学通」に比べるとかなりテイストが違っている。本文がカラー刷りでない以外はイラストや画像が多用されており、文章も読み易く、文字も大きく、CD−ROM付きで、日本の入門書と良く似ているのだ。このため読み進むには難しくはなさそうであったが、唯一の問題は、当時の私はデータベースソフトについて何の知識も持っていなかったということであった。
このため、最初から文章の意味を完全に理解しなければ次に進めないというプレッシャーがあった。中国語の和訳は本当に難しいと初めて実感させられたのであった。
中国語は、ヨーロッパ言語の様に、品詞により単語の綴りが変わることがない。例えば「花」という漢字は名詞としても動詞としても使用される。「努力」という単語はこのままの形で動詞にも名詞にも、更に副詞にも形容詞ともなり得る。これをどう区別するかは、その単語と別の単語の修飾、被修飾関係による。だから品詞分類を完全に理解していないと文章の意味が見えて来ない。更に文語的な言い回しがたまに出現するので、その当時の私の中国語の基礎知識では理解に苦しんだ。日本で出版された初級の中国語教本で、中国語の文語文の解釈についてまで解説したものはそれまで見たことも無かったからである。これにより1ページの文章で、せいぜい200文字位しかないものを30分掛けて読むなどということも少なからず発生した。
この様にして苦労しながら、全文をほぼ完璧に和訳できたことで、MS-Access2000についてはテーブルの作成、プライマリーキーの定義の仕方、検索、並べ替え、フォームの設計と作成、印刷、果てはマクロの組み方とSQLの記述方法に至るまですべてをマスターした。これでMS-Access2000の操作に自信をつけた私は、日本語の書籍でMS-Access2000 VBAによるデータベース処理プログラムの設計に関する技術書を数冊読み、MS-Access2000 VBAADOを駆使したプログラムの開発技術を習得した。これで、社内の原価管理システムで、MS-Access97+DAOという旧テクノロジーを使用したシステムの全面改良に成功した。
今回想すると、この時はまだ中国語検定の受験を考えていなかったので、文章が簡体字でも繁体字でも関係無いと思っていたが、この時に繁体字の書物を読んだということが私の学習の阻害になっていた。中国語検定では作文問題が出題されるが、当然ながら筆記試験である。加えて正確な簡体字で筆記しないと減点されるので、日本語で使用される漢字とも、繁体字とも違う簡体字の書き方を覚えるという重要な学習をしなかったことになるのだ。過去にも掲載したが、語学とは「読む、話す、聞く、書く」の能力を平均して高めていくという学問であり、重要な柱の一本を欠いたままの学習になっていたのは残念に思う。
次に、その3年後とまた時間が飛躍する(この時は中国語検定2級に合格していた。)が、これもまた私が中国で買って来た「VB.net入門経典」という入門書についてだ。
これは、WROX社(www.wrox.com。米国では信頼できるプログラミングガイドブックの専門出版社として知られている。)のライセンスを受けて中国・清華大学出版社から出版(2002年5月版)された本だ。日本版は未発売、688ページと厚い本である。
この時は、今後VBAではなく、本格的なwindowsアプリケーションの開発技術を習得したいと考えていた。しかし、今更Visual BASIC 6だとか、オブジェクト指向の波に乗り遅れたC言語から入門するのも時代にそぐわず非効率的だと思っていたので、最新技術のMS-.Net FrameworkとMS-Visual BASIC.Netを一から学習したいという意欲を持っていた。それならば今回もまた中国語の書籍で入門しようとチャレンジを決意したのだ。
この時も、全く未知の技術を中国語文献だけから得るという作業になり、文章を完全に読解しなければ先に進めないというプレッシャーとの戦いだった。
巻頭から100ページ位は私が既に知っているBASIC言語の解説が続いたが、オブジェクト指向プログラミング技術の基礎となるクラス設計の章に入ってからは、意味不明の用語が続出し、読解速度は急速に落ちた。どうしても理解できない項目はインターネットを使って調べながらの和訳になったが、自分なりに中国語のオブジェクト指向用語(対象、類、方法、事件、公有、継承、覆蓋などだ。)を日本語に置換して読み進めた。
この本の読破にも、10ヶ月近くという長い期間を要した。苦労の結果、この入門書に記載されたVB.Netの文法、簡単なフォームと初歩的なプログラムの作成、クラス設計と継承の概念、クラスへのイベント・プロパティー・メソッドの組み込み、アプリケーションプログラム作成の詳細事例、ADOを使用したデータベースへのアクセス、WEBフォームとWEBサービス等の記載内容を90%以上は理解できた。これでMS-Visual BASIC.Netの基礎知識を習得した私は、続けてMS-Visual BASIC.Netプログラミングについての内容で、日本国内で発売されている中で最も難易度が高いと思われる5冊組の技術書をインターネットで購入し、3ヶ月程で理解し、その後10ヶ月かけて、生まれて初めてwindowsアプリケーションプログラムの開発に成功した。これはwindowsのシステムユーティリティーで、フリーソフトとしてVectorに掲載させてもらった。(私の個人情報が特定されるので、ソフト名までは教えられません。)