我的拍売戦記(6) CD:Tommy Boy the greatest beats!

今日のテーマは、「Tommy Boy the greatest beats」という音楽CDだ。
ある日、突然Planet Patrol の「Play at your own risk」が聞きたくなった。
学生の頃は、Hiphop音楽を良く聞いていたが、あまりメジャーではないが完成度の高いこの曲がふと頭に浮かんだ。思い出して見ると、やはり作曲技術に優れた曲だと感じた。
さて、オークションでPlanet PatrolのCDを検索したが、全くヒットしない。そこでgoogleを使ってPlanet Patrol+Play at your own riskで全言語サーチをかけた結果、学生の頃私の友人が持っていたレコード、Tommy Boy the greatest beatsの中に「Play at your own risk」、更に「Danger zone」が収録されていることが分かった。想えば「Danger zone」も捨て難い名曲だ。メロディーが頭に流れて来た。
「Tommy Boy the greatest beats」には、このレコードにのみ収録されている大作「Tommy Boy megamix」が収録されているのを知っていた。Tommy Boyレーベルのヒット曲をミックスした作品だ。私は学生時代にこのメガミックスが大変気に入り、数え切れないほど音楽テープで鑑賞した結果、独りでフルコーラスをアカペラで歌い、ラップし、打楽器(身近にある机などで可)を叩いて踊るという芸を習得した。この曲のために特別にミックスされているアフリカ語によるラップ、電子合成による凝った音造りによる伴奏、バックに入る歓声、どれもが見事にTommy Boyレーベルの音楽作品と調和してTommy Boy megamixの世界を独自に形成している。この曲の聞き処は2つだ。
(1) 前半、アフリカ語で「hongala- a la fi et a-she a-she,hongala- a la fi et a-she a-she」とラップが入る箇所の、1回目のhongala〜が終わるタイミングで、バイオリンのサンプル音を元に作成したと思われる電子音が「キーーーーーッ!!」と入る所だ。私の以前の日記、「アラベスクのCD」でも紹介した’70年代のディスコ音楽で多用されるバイオリンそのものだ。
(2)次は、「Looking for the perfect beat」が流れる直前の間奏で「Play that kicking,kicking...」とラップが入ると同時に、何の音をサンプリングしたか分からないが、1秒程、低音でグワァーーンとうなりを上げて何かの音が入る。この音造り、挿入のタイミングと意外性は天才的だ。
「Tommy Boy the greatest hits」にPlanet Patrolの2作品が入っていることを知った私は、もしかしてこのCDがオークションで出品されているのではないかと期待して検索をかけた。これがヒットし、中古CDが1枚だけ出品されていた。あとはアナログレコード2枚が出品されていた。CDの価格は1,980円だったので、3,000円位の指値で自動入札をかけた結果、案の定昔のHiphopに愛着を持つ音楽マニアは居らず、易々と1,980円での落札に成功した。
CDが到着したその日は残業で帰りが遅かったが、CDをすべて鑑賞できる喜びで疲れ・眠気は吹き飛んだ。Afrika Bambaataaの2作品、Planet Patrolの2作品やTommy Boy megamixなど、初めてデジタル音源で鑑賞する名曲は刺激的だった。Planet Patrolの「Danger zone」は、学生時代から20年経った今再聴すると、メロディーとバック演奏のどちらも素晴らしい作曲性で、このCDの中で最も出来の良い楽曲だと感じた。
「Play at your own risk」は、Tommy Boyレーベルの作品群に溶け込んだ、どこと無く親しみのある曲だなと感じていたが、聞いてみるとAfrika BambaataaのPlanet rockの伴奏をそのままコピーしたものを使用し、その上に全く別のボーカルを乗せていることが分かった。メロディーを替えただけで随分とテイストの違う曲に仕上がっていると感じた。
「Danger zone」は、他のアーティストの作品の伴奏をコピーした曲ではないが、凝った音造りと味わい深い上に飽きの来ない伴奏に乗せて、グループの複数のボーカリストがそれぞれの持ち味を発揮して交互に歌うという曲だ。メロディーの作曲性が実に良い。「Play at your own risk」と比べても一層技巧的な作品だ。後で分かったが、「Play at your own risk」が1982年の作品、「Danger zone」が1984年の作品ということで、2年間における成長の跡が実感できる。
Tommy Boy megamix(お願いだから試聴してくれ!何と、アフリカ語ラップが入る最もカッコいい部分だけが収録されているのだ!!)は、全く文句の付け所の無い、Tommy Boyレーベルを正に代表する名作だ。「2ヶ所に入る電子音」はいつ聞いてもその天才的な着想と技術を堪能できる。最後に、Tommy Boy megamixに入っているアフリカ語のラップを、日本語表記(この様に聞こえる)で紹介しよう。
私がアカペラを芸で披露すると、聴衆はこのアフリカ語ラップでウケてくれる。
「アバイー ラズルー ソッ フォンケー」
「イラッターナーヨーヨー イラッター イラッター」
「ホンガラー ア ラフィエッ アッシェッ アッシェッ」