我的拍売戦記(5) ブルース・リーDVD5部作その七

その5 「ブルース・リー死亡遊戯

これでブルース・リー5部作の最後の作品の鑑賞になる。
実は、私は小学生の時にこの作品がテレビで放映されたのを観た経験がある。ブルース・リーが死んでから編集、上映された作品ということはその時既に知っており、大きく記憶に残っていたことは
(1)リーが死んでいて出演できないので、別の俳優がお面を付けて出演するシーン
(2)途中のストーリーには全く見所が無く、リーが死亡の塔に登ってから見れば良い。
この2つだった。
まずテーマ音楽を久し振りに聞いた。このテーマ音楽はなかなか聞き応えのある名曲であるが、ボクサーの辰吉丈一郎が入場テーマ曲に選定したことで、この曲の価値が大幅にダウンしてしまったと思う。私見ではあるが、このテーマ曲は映画の上映以外に流すべからざる神聖な曲だ。
この作品では、タイトル音楽の演奏が終わると中国語と英語で「この作品はフィクションであり、もしも死んだはずの人間が主演している様なおかしな所があっても、それは偶然である。」という字幕が表示される。のっけから不可解な設定だ。製作者は、この作品に出演している本物のブルース・リーまでもフィクションとして定義しているのである。
作品では、開始直後から「ドラゴンへの道」と思われる撮影風景でブルース・リーのニセモノが登場する。始めはニセモノの顔を長時間映さず、ブルース・リーの過去の主演作品の1シーンを挿入したりして苦し紛れにリーの登場シーンを作っているが、その中でリーが0.2秒位現れるシーンでは、リーに扮した役者が紙製の「お面」を付けて出演しているのがハッキリ分かる。あるブログでは、「画面上で合成している」と表現しているが、観察力が足りな過ぎる。フィルム上の合成ではなく、明らかにお面である。なぜならば、髪の毛の質感がなく、お面と背景の境界線がハッキリと映っているからである。だが、このお面を付けたシーンを静止画像で観察して見ると、お面に使われたリーの顔写真、背景、役者の服装相互の色合いがうまく合うように設計されているし、照明の使い方を工夫してお面が光らない様に涙ぐましい努力をしているのが分かる。さすがに撮影チームもこの「お面」作戦の手間の掛かり方には懲りた様で、これ以後お面を使用したシーンは登場していない。
この後は、死亡の塔のラストシーンに至る余り時間を消費するための、中身が無くストーリーなどどうでも良い役者の演技が1時間余り続く。私は我慢して観劇し、何か発見が無いかと集中していたが、結局無意味な時間の消化に過ぎなかった。

続く