我的拍売戦記(5) ブルース・リーDVD5部作その八

ここで、「たけしの挑戦状」というファミコンソフトについて説明したい。読者の方々には、このソフトについての知識が無いと、後の私の文章が理解できなくなるからだ。
このソフトについての詳細な説明については深く触れないので興味のある方はネットで検索していただきたい。
さて、このゲームは、「解ける確率、無限大分の一」というキャッチコピーでビートたけしがテレビCMに登場して宣伝したことでも有名になったアドベンチャーゲームだ。私はこのソフトを人から借りてプレイしたが、あまりの下らなさに20分ゲームをしただけで返却した。このゲームにはバッテリーバックアップなど無かったと記憶しているが、ゲームを進める上での選択を誤ると即座にゲームオーバーになり、間違えた選択の直前に戻るにはまたゲームを始めからやり直さなければならない。これには辟易した。ゲームをプレイする面白さによるメリットよりも、大切な自由時間が削られるデメリットの方が大きく、忙しい私には合わないと判断したのだ。こういうゲームは後になれば攻略法やエンディングがどうであったという情報が公開されるものなので、何も無理してプレイする意味も無いので、この時の私の判断は正しかったと思う。
後にファミコン雑誌でエンディングが公開された時は、「ああ、やはり無理してプレイする程のゲームではなくて良かったな」と再認識した。
エンディングでは、真っ黒な画面の上にたけしらしき男の顔が現れ、
「しかし よくもまあ / こんな げーむに むちゅうに なっちゃって どうするの / ほめてやるよ えらいっ!」という台詞が吹き出しになって表示されるらしい。この、苦労してエンディングに辿り着いたプレイヤーを完全に愚弄したたけしの顔と台詞に、世界中の多くのプレイヤーが激怒して暴れまわったらしい。
クソゲーという言葉があるが、これはファミコンソフト時代に創作された言葉であり、少年達が小遣いをはたいて購入したソフトが低級な作品であり、値段が余りにも不釣合いだった時、そのゲームに憎しみを込めて糞ゲームと呼んだのが略称されたものである。私は、「クソゲー白書」という新刊の数百円の単行本が欲しくてどうにもならなくなり、わざわざ東京まで往復の電車賃1万数千円をかけて神保町まで買いに行ったことを思い出した。この本にも「たけしの挑戦状」は、「スペランカー」や「マインドシーカー」などと並ぶ歴史的なクソゲーとして紹介されていた。

画像は、このゲームのエンディングのひとつのスクリーンショットの一部である。これ以外の部分は真っ黒である。真っ黒な画面というものは、ソフトの製作者にとっては最も情報量を少なくでき作成が簡単、つまり最大限の手抜きなので、驚くような仕掛けのエンディングを望んだプレイヤーを失望させるには最大の効果を生む。動作中に致命的な不具合で停止するwindowsの画面のように。