我的拍売戦記(5) ブルース・リーDVD5部作その六

燃えよドラゴン」の続き。

ハンの住む要塞の秘密を暴くべく、リーは夜間単独で要塞に乗り込むが、次の見どころは私の余り好きでない双節棍(中国武術を良く知らない日本人はこれをヌンチャクと呼ぶらしい。)をリーが使用するシーンだ。ハンの護衛の若手集団が素手のリーに襲い掛かるが、リーは若手の持つ双節棍を奪い取る。双節棍を取り上げるや否や、これを振り回す独特のパフォーマンスが始まり、双節棍を取り上げられた若手は目を点にしてパフォーマンスに見入り、驚愕する。その後、武器を持つ若手集団を寄せ付けない程のリーの猛反撃が始まるが、双節棍が若手に当たった時のリーの目を剥(む)いた表情が笑える。「ウオーー!この双節棍っていう武器、こんなに効き目があるのかあ!!」とリーは自分自身の活躍に驚いているように見えるのが笑える。
次は、リーが要塞に閉じ込められた麻薬中毒者や囚人を発見するシーンで、イギリス人と思われる金髪女性が出て来るシーンだ。これも笑わずにはいられない。うつろな表情で、目も、口も、鼻も、耳も髪も頬も手も・・・・すべて「死んでいる」のだ。この女性は私が選ぶに、この作品の最優秀助演女優賞だ。何度見ても新しい発見と笑いがある。
さて、お笑いシーンの回想に路線が外れてしまったが、これ程お笑い要素を散りばめて作り込まれているということは製作費も相当に掛かっているのだ。他にも大道芸、娼婦、相撲力士などを使った宴会場のセットやハンの要塞(中にはエレベーターもある)、大勢のエキストラの使い方などはほかのブルース・リー主演作品とは比較にならないほど金が掛かっている。さて、最後に笑えるシーンは、ハンの要塞から囚人が開放され、ハンの護衛の若手軍団と大乱闘を始める所だ。ハンの軍団は白い胴着、囚人は黒い胴着を着ており、全員で300人はいるように見える。私は、こんなに大勢の人間が一斉に乱闘している状況を初めて見た時、その迫力に圧倒された。その後何度も観るに従い、映画から感じる迫力は笑いのエネルギーへと変わっていった。
この場面で、ハンが乱闘のどさくさに紛れ、背中を向けて逃げ出す。リーはこれを偶然に発見し、ハンの隠れ部屋に辿り着く。ここで有名な「鏡の部屋」での長い格闘シーンが始まる。正に優劣つかぬ強者同士の凄まじい戦い、「龍争虎闘」のラストバトルだ。最後にハンを倒したリーが要塞から出て来るが、ここでリーが要塞内の無線室から打電して呼んだ救助部隊のヘリコプターが来る。おっと、何か変ではないか??この作品を初めて鑑賞した時は何とも思わなかったのだが、大きな組織が最後に現れ、殺人事件を解決する・・・・・・  ん?これはシリーズに共通する警察オチと変わり無いのではないか?また私には、今まで経験したことのない部類の実に不愉快なストレスが溜まってくるのを感じて観劇を終えた。