我的拍売戦記(5) ブルース・リーDVD5部作その二

その2 ドラゴンへの道(猛龍過江)

ブルース・リーの主演映画の中ではこの作品が一番つまらない。
カンフーアクション映画なのか、低級なコメディー映画なのか、どちらにするのかハッキリしろ!と言いたくなる中途半端な作品。この作品はブルース・リーが初めて一人で監督、主演を行った映画として知られるが、映画の流れがコメディー路線に傾いてしまったことでリーが外面とは似着かず実はひょうきんな性格だったということが映し出された。
ラストシーンを撮影するためにわざわざローマのコロッセオでロケを行い、短時間(鑑賞後に確認したのだが、「死亡遊戯」のリーとアブドル・バジャーの格闘時間よりも短い。)で終わるボス敵チャック・ノリスとのアクションを見せるまでの異様に長く引き伸ばされた、どうでもいいような意味の無いストーリーとダラダラとした俳優の演技。
カンフーで対戦する相手が西洋人で、ブルース・リーのカンフーは彼らに中国式ボクシングと呼ばれてバカにされる。西洋人のケンカ・スタイルとリーのカンフーがマッチせず、超大作「燃えよドラゴン」を観たことのある私にはリーの弱い者いじめにしか見えなかった。
この映画ではリーの小道具としてダブル・ヌンチャクが使用されるが、私はヌンチャクアクションは好きではない。もともとヌンチャクという言葉が中国語ではないし、どうせ呼ぶなら双節棍と呼んで欲しいが、双節棍という武器は槍や剣が通じない盾を持った相手に対し、これを上から振り下ろして盾を持つ相手の頭部を攻撃するためのものだ。従って盾を持たない相手には棒、槍、剣を使うべきで、わざわざリーチの短い双節棍を使うのは意味が無いと思う。リーは棒術にも長けているので、正統なカンフーを使わずにこんなチンケな小道具を用途外使用するなどという演技にエンターテインメント性を向けるのはブルース・リーらしからぬ行為だと思う。
ここでドラゴン危機一発、ドラゴンへの道と続けて鑑賞したが、私は最初に見た「燃えよドラゴン」の出来が余りにも良すぎたため、ほかのブルース・リー主演映画がほとんど楽しめないのだ。
では、次回に続く。