第6集 神風特攻隊

第6集 神風特攻隊 レア度:C(常見)

真に奇妙な本である。
このシリーズの読者として想定される小学生に向けて、本書は冒頭から「海軍魂とは何か?」を明らかにし、読者に理解を求めることから始まる。
いや、こうしなければ小学生はおろか一般人にも特攻の精神が理解できないはずであるからである。
元来、自己犠牲による自爆攻撃とは、必死極限の状態に置かれた時は誰でも行動に移さなければならないものとして教育、訓練されたものであり、なにも太平洋戦争末期の「神風」だけが特攻なのではないし、決して旧日本軍特有の精神ということではないと思われる。神風特別攻撃とは軍上層部が相当の設備、兵器を特別に用意仕立てた中で実行に移されたものとして区別されるに過ぎない。神風と名が付かなくとも特攻精神は古来不変、神風であるかの違いはハードウエアの違いなのだ。
神風が実行に移された初期段階では、爆弾を抱えた戦闘機の敵艦への突入により目ざましい戦果があげられたが、それ以上に連合国軍の兵士が恐怖からノイローゼになりまともな戦闘ができなくなったなど心理的な影響が大きかったらしい。やがて米軍は艦船に大量の対航空機用砲塔を搭載するようになり、航空機の近くで散弾する新砲弾の開発成功などで、艦船に突入する特攻機を高い確率で打ち落とすようになった。
更に、特攻隊員は一度出撃したら終わりなので、日本軍では次に出撃させる特攻隊員を教育、訓練することもままならなくなり、優秀なパイロットは本土決戦用に残されたため、特攻出撃が最初の飛行機操縦となるような低レベルの特攻隊員や、それまで飛行機に乗れなかった航空整備士が出撃するようになり、出撃しても敵艦船にたどり着けずに墜落するなど、役に立たない隊員ばかりになったことも、特攻の戦果が下降線をたどっていった理由だ。
特攻兵器の究極型として知られるロケット戦闘機、「桜花」についても写真を交えて解説されている。桜花はロケット燃料搭載で、弾幕をかい潜り超高速で敵艦に突入できるという長所があったが、飛行中の一式陸攻を発射台にしていたため、大戦末期に既に台数が少なく旧式で低性能な一式陸攻が飛行中に撃墜されるなどで、ほとんど戦果はあげられなかった様だ。
レア度はCとしたが、オークションで出品されることは少ない。

次回は、涙を誘う「壮烈!水雷戦隊」について述べる。